相続財産(亡くなった方の財産)の中に不動産が含まれている場合は、相続登記が必要な可能性が高いです。
相続登記とは、被相続人(亡くなった方)の名義となっているものを、相続人の名義に変更する不動産登記手続です。
これまで、相続登記をするか、しないかは相続人の判断に任されていましたが、法改正によって2024年(令和6年)4月からは、相続登記は義務となります。
つまり、相続財産の中に不動産が含まれている場合は、相続登記をしなければならない可能性が非常に高いと言えます。
このページの目次
相続登記が義務化した経緯
きっかけは2011年に発生した東日本大震災と言われています。その復興作業として用地買収の際に、何代にもわたって相続登記がされていない土地があり、土地移転などの復興事業が遅れたと言われています。
そのような所有者がわからない土地は九州の面積に匹敵すると言われています。また、全国にある空き家も相続登記がされていないことが一因であるとされています。
このような状況を解決するため、これまでのように相続登記を相続人の判断に任せるのではなく、義務化することとなりました。
相続登記の義務化の内容
相続登記の義務化の内容は、次のとおりです。
- 相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしなければならない。
- 遺産分割が成立した場合は、その遺産分割協議によって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければならない。
少しややこしいですが、ポイントは「相続から3年以内」ということです。
相続では、遺産分割協議があったり、遺言があったりとケースにより様々ですが、相続財産に不動産が含まれている場合は、相続登記が必要であり、それは、おおむね相続の時から3年以内に行わなければならないと思っておけば、間違いないです。
個別具体的な期限については、相続登記の専門家である司法書士にご相談ください。
義務化の対象となる相続
相続登記の義務化は、2024年(令和6年)4月1日から始まります。
それ以降に生じた相続は当然義務化の対象となりますが、気を付けたいのは、それ以前(2024年4月1日以前)に開始している相続についても義務化の対象になっている点です。
つまり、相続登記の義務化は、過去の相続についても遡及して適用がされますのでご注意ください。
ポイント:義務化は、過去の相続についても、遡及して適用される。
過去の相続についての相続登記の期限
過去の相続についても、3年の猶予期間があり、相続登記の義務化がスタートする2024年(令和6年)4月1日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。
なお、相続登記の期限の詳細については、相続登記の専門家である司法書士にご相談ください。
義務を守れない場合(罰則について)
相続登記の義務に違反した場合は、罰則が適用される可能性があります。
具体的には、正当な理由なく相続登記を申請しない場合は、10万円以下の過料が科される可能性があります。
過料とは行政上のペナルティーです。
また、正当な理由とは、相続人が極めて多く、集めなけばならない戸籍などの書類が多いなどの事例が考えられます。
相続人申告登記
相続登記が義務化されたとはいえ、相続人間の事情により遺産分割協議が3年の期間内にはまとまらないということも考えられます。
その場合、相続人申告登記(相続人である旨の申出)をすることにより、相続登記よりも簡単な手続で相続登記の義務を履行することができます。
相続登記では、被相続人の一生分の戸籍など多くの書類が必要ですが、相続人申告登記では、申出をする相続人の戸籍程度で足りることから、相続登記の申請期限までに時間がないような場合は、相続人申告登記をすることにより、過料(罰則)を科されないようにできます。
ただし、相続人申告登記を行った場合でも遺産分割協議がまとまった際には、相続登記を申請する義務がありますのでご注意ください。
相続登記の義務化については、相続登記の専門家である司法書士に早めにご相談することをお勧めします。