相続手続きの大まかな流れ

相続の手続きの大まかな流れをご説明します。

相続開始後の大まかな手続きの流れは次のとおりです。

  1. 相続の開始(被相続人の死亡)
  2. 遺言書の有無の確認
  3. 相続人の調査/遺産の調査
  4. 相続放棄(家庭裁判所への申し立て)の期限
  5. 遺産分割協議の実施
  6. 相続税の申告期限
  7. 各相続手続き(不動産の名義変更・預貯金等の解約など)

まずは遺言書の確認を

相続手続きを進めていく中で遺言書がある場合とない場合では手続きが大きく異なります。

もし、遺言書がなかったものとして相続手続きを進めたときに、途中で遺言書が発見された場合、その遺言書の内容によってはこれまでの相続手続きを最初からやり直さなければならない可能性もあります。

そのため、相続手続きの第一歩としては遺言書の有無の確認が重要です。

遺言書がない場合

遺言書がない場合、相続人の調査や遺産の調査を行います。

相続人の調査によって相続にが複数いた場合は、遺産の分け方について相続人全員で話し合う遺産分割協議を行います。相続人全員で話し合いがまとまればその結果を明確にするために遺産分割協議書を作成します。

法令上は遺産分割協議書の作成は必須とはされていないですが、銀行や不動産の名義変更をする際には必要とされていますので、多くの場合は作成することになります。

遺産分割協議書の作成ができたら、銀行や不動産の名義変更などの相続手続を行います。

一方、相続人全員で話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立て、家庭裁判所において財産承継についての話し合いをすることになります。

その後、調停や審判の結果が出たら、それに基づいて相続手続を行います。

なお、相続人が一人の場合は、遺産分割協議をする必要がない(することができない)ので、その相続人が各相続手続をすることになります。

遺言書がある場合

遺言書がある場合、その遺言書の種類により手続が異なります。

遺言書が公正証書遺言の場合は、その公正証書遺言を使用してすぐに相続手続を始めることができます。次の自筆証書遺言と異なり検認の手続は不要です。

一方、自筆証書遺言(登記所保管制度を利用していない自筆証書遺言)は、その自筆証書遺言を使用して相続手続を始める前に、家庭裁判所において検認の手続が必要です。検認の手続には、準備期間を含めるとおおむね2~3か月程度かかることが多いです。

なお、令和2年7月より法務局において自筆証書遺言保管制度が開始されました。この自筆証書遺言保管制度を利用した自筆証書遺言の場合は、公正証書遺言と同様に検認の手続は必要ありません。

相続放棄の手続

被相続人(亡くなった人)に多額の借金があるなど被相続人の財産を承継したくない場合、一定期間内に家庭裁判所に申し立てることにより、相続を放棄することができます。

一定の期間とは、相続の開始があったことを知った時から「3か月以内」です。この3か月を経過してしまうと、相続を承認した(認めた)こととなってしまうため、相続放棄が出来なくなってしまいます。

ただし、この「3か月以内」は、被相続人が亡くなってから3か月以内ではなく、相続の開始があったことを知った時から3か月以内と定められています。

そのため、被相続人と疎遠であった場合など、被相続人が亡くなってから3か月以上経過していても事情によっては相続放棄をすることができます。

なお、相続人全員の話し合いによって行う遺産分割協議の結果、何も財産を取得しなかった相続人が「私は相続放棄をした」と表現される場合がありますが、これは家庭裁判所での相続放棄の手続とは全く異なります。

財産を何も取得しなかったという点では、家庭裁判所での相続放棄と同じですが、これはあくまでも遺産分割協議なので、3か月以内に遺産分割協議をしなければならないというような決まりはありません。

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