相続放棄は、最初から相続人とならなかったとする手続です。
多額の借金がある場合などに有効な手続ですが、以下、相続放棄をしたほうが良いケースをご紹介します。
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債務超過になっている場合
被相続人(亡くなった方)の財産が預貯金や不動産などのプラスの財産よりも、借金などのマイナスの財産が多い場合、すなわち債務超過になっている場合は、相続放棄をしたほうがよい典型例です。
このまま相続をしてしまうと、マイナスの財産のほうが多いため、相続人のもともとの財産から返済をする必要があります。
管理が大変な財産が多い場合
被相続人(亡くなった方)の財産の中に、遠方の不動産や山林など、管理に手間や多額のコストがかかる場合は、相続放棄を検討するケースとなります。
そのまま相続をした場合、所有者として山林などの管理をする必要があり、万一、第三者に損害等が生じた場合は、それに対する賠償責任等が生じる可能性があります。
相続財産に借金がなく、不動産等のプラスの財産だけであっても、財産の中身はしっかりと確認するようにしてください。
相続争いに巻き込まれたくない場合
被相続人(亡くなった方)が遺言書を作成しておらず、相続人が複数人の場合、相続財産は、相続人全員の話し合いである遺産分割協議によって分配されます。
遺産分割協議が成立するためには、相続人全員の合意が必要ですが、相続人間に争いがある場合は、長期にわたり合意に至らず、裁判手続になることも考えられます。
そのような相続人間の争いに巻き込まれたくないようなときも、相続放棄をすることにより、相続争いから抜けることができます。
ただし、一切の財産を相続できなくなりますので、慎重に検討する必要があります。
ある相続人に財産を集中させたい場合
相続人が複数人いる場合で、ある相続人のみに財産を集中させたい場合も、相続放棄の手続を活用することができます。
次に相続放棄をしない方がよいケースをご紹介します。
他の相続人に相続権が移動するのが困る場合
相続放棄をすると確かに相続放棄をした人は相続をしなくてよくなりますが、それですべて解決するわけではありません。
なぜなら、相続放棄によって借金などの相続財産が消えてなくなるわけではなく、相続権とともに次順位以降の親族に移動し、その親族が相続人として対応をする必要が生じるからです。
そして、相続権が移動した親族も相続をしたくなければ、相続放棄の手続をする必要があります。
つまり、自分が相続放棄をしたことをきっかけとして、関係する親族に影響が出ることがあります。
親族間の関係性によっては、どうしても迷惑をかけられない親族もあるかもしれません。
そのような場合は、相続放棄ではなくその他の手続も検討した方が良いでしょう。
自宅や重要な財産を相続できなくなるのが困る場合
相続放棄は、マイナスの財産のほか、自宅をはじめとする重要な財産も相続できません。
重要財産をどうしても手放したくない場合は、相続放棄ではなくその他の手続を検討する必要があります。