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遺言の方法にはどのような種類がありますか
法律で定められた遺言には死亡危急時遺言や在船者遺言といった特殊な場面での作成を想定された遺言もありますが、一般的には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の利用が多いです。
自筆証書遺言となどのような遺言ですか
自筆証書遺言とは、遺言者が、全文・日付・氏名を自署し、押印をする形式の遺言です。
なお、近年の法改正により財産目録をパソコンで作成することが認められましたが、その場合であっても、印刷したものに遺言者の署名・押印が必要です。
紙とペンがあればいつでも作成できますが、内容や形式に法的な不備がある可能性があります。
公正証書遺言とはどのような遺言ですか
公証役場にいる公証人に対して証人2名の立会のもと遺言内容を伝え、それに基づき公証人が作成する遺言です。
公証人は法律の専門家なので、法的に問題のない遺言が作成できます。一方で、自筆証書遺言に比べて費用がかかります。
遺言は変更できますか
遺言はいつでも変更できます。公正証書遺言の内容を自筆証書遺言の形式で変更することも可能です。その反対ももちろん可能です。
一番最後に作成された遺言の内容が有効になります。
遺言で孫に財産を残すことはできますか
相続人以外に人、例えば孫に財産を残す遺言を作成することもできます。
自筆証書遺言を誰かに保管してもらうことはできますか
自筆証書遺言を信頼できる人に保管してもらうことは可能です。
もし、そのような人がいない場合は、法務局で行っている自筆証書遺言保管制度があります。
自筆証書遺言保管制度を利用すると、法務局に遺言書が保管されるため、第三者による改ざんや遺言書の紛失を防ぐことができます。
自筆証書遺言の署名・押印は妻との連名にしてもよいですか
遺言は2名以上で作成することはできません。
夫婦であっても個別に作成する必要があります。
したがって、自筆証書遺言の署名・押印は奥様と連名にするのではなく、夫婦個別に作成してください。
自筆証書遺言にハンコは必要ですか。
自筆証書遺言には、署名とともに押印が必要です。
印鑑は、いわゆる認印でも構いませんが、市町村に印鑑登録をしている実印の方が望ましいです。
老人ホームに入所中で公証役場に行けませんが、公正証書遺言は作成できませんか
公証人に出張してもらうことは可能です。
当然その分の出張費用がかかりますが、近くの公証役場に確認をしてください。
なお、入所中の施設にも公証人の受け入れが可能か(公証人に来てもらってもよいか)確認をしておいた方が無難です。
口がきけないのですが公正証書遺言は作成できますか
公証人に対して筆談によって遺言内容を伝えられることが出来れば、作成可能です。
公証役場に確認をしてください。
公正証書遺言の作成の際、子どもに付き添ってもらうことはできますか
公証役場まで一緒に付き添ってもらうことは問題ありませんが、公正証書を作成する際は、立ち会うことはできません。
公正証書遺言の作成は、遺言者と公証人及び証人(2名)の立会により行われます。
証人には子などの推定相続人はなることができません。
そのため、子は公正証書遺言の作成に立ち会うことができません。
介助などで付き添いが必要な場合は、公証役場に相談をしてください。
遺言書はどこに保管したらいいですか
自筆証書遺言の場合の法務局による自筆証書遺言保管制度のほか、ご自身で保管する場合は、権利証などの重要書類が保管されている場所などが考えられます。
一方で、銀行の貸金庫での保管は避けてください。
なぜなら、遺言者が亡くなった後に貸金庫を開けるためには、相続人全員の実印が必要になるなど、大変な手間がかかることが多いためです。
検認とはどのような手続ですか
相続開始後、自筆証書遺言(自筆証書遺言保管制度を利用した遺言を除く)を使用して相続手続をする場合、その前に家庭裁判所にて検認(けんにん)手続をする必要があります。
これは、保全手続の一種で、相続人の立会のもと裁判官が内容を確認し、以後の改ざんなどを防ぐ趣旨があります。
ただし、検認手続は、形式的な内容を確認しているだけなので、遺言書の内容自体を争いたい場合は、別途訴訟等を起こす必要があります。
検認の手続には、戸籍を集めたり、申立てから検認日当日まで時間がかかったりします。
相続人の手間を考えた場合は、公正証書遺言を作成すると良いでしょう。
なお、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用した場合も検認手続は不要ですが、保管した自筆証書遺言を使用するために遺言書情報証明書の交付を受ける必要があります。
この遺言書情報証明書の交付を受ける際に、戸籍等を提出する必要があり、相続関係によっては検認の手続と同様の手間が想定されます。
そのため、亡くなった後の相続人の手間を省くためには、公正証書遺言を作成すると良いでしょう。
遺言書があるか調査をすることはできますか
平成元年以降に作成された公正証書遺言であれば、全国の公証役場で調査をすることができます。
また、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用した自筆証書遺言であれば法務局で調査することができます。
ただし、自筆証書遺言保管制度は令和2年に始まった比較的新しい制度であるため、利用件数はまだ限られています。