相続手続において財産目録の作成は一部の手続を除いて必須ではありません。
ただし、相続放棄の判断をする資料にしたり、相続人間で相続財産を明確にすることにより余計な争いを回避することに役に立ちます。
また、相続税の申告や各種相続手続を専門家に依頼する場合も、財産目録があるとスムーズに打ち合わせを進めることもできます。
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財産目録とは
財産目録は、被相続人(亡くなった人)の財産の一覧表です。
そのため、被相続人の財産をすべて記載しますが、書式に決まりはありません。
例えば、次のような項目ごとに分けて記載するとわかりやすくなります。
- 不動産
- 預貯金
- 有価証券
- 手許現金などそのほかの財産
- 負債(借金・ローン
不動産は、土地と建物に分けて記載します。
各土地と建物の不動産登記簿上の記載や固定資産評価額などを記載します。
預貯金は、金融機関名・口座の種類・口座番号・残高などを記載します。
有価証券は、株式であれば、銘柄・株数・取扱証券会社などを記載します。
そのほかの財産として、手許現金や還付金などを記載します。
借金やローンといった負債も相続財産になります。
判明している借金やローンを記載します。
負債のうち見落としがちなものが、連帯保証債務です。
被相続人が会社経営者だったりすると会社の借入について個人として連帯保証をしていことがあります。
財産目録を作成する必要性
財産目録は一部の手続を除いて法令上作成を義務付けられているものではありません。
しかし、相続は被相続人の財産分けの意味合いがあるので、相続手続の前提として被相続人の財産を明確にするためにも財産目録の作成をお勧めします。
特に、次の場合には財産目録の作成をお勧めします。
- 疎遠になっている相続人間で遺産分割協議を行う
- 相続放棄や限定承認の手続を検討している
- 相続税の申告が必要かどうか検討している
- 遺言執行者への就任を承諾した
このうち、遺言執行者への就任を承諾した場合、民法1011条1項には「相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない」と定められているため、財産目録の作成は必須です。
財産目録を作成するために
財産目録には、相続開始時点で判明している財産のほか、調査をすることによって判明する財産も記載します。
財産調査は、不動産であれば登記簿や権利証の記載を調査し、預貯金であれば取引をしてそうな金融機関にて取引履歴等を確認します。
また、財産には借金も含まれますので、借入などについても通帳の引き落としや金融機関からの通知などを確認し、詳細を確認した場合は、信用調査会社に情報開示手続などを行います。