相続の財産調査で使う「公図」とは?取得方法と注意点を解説

相続不動産の財産調査、見落としを防ぐアイテム、それが「公図」です

ご親族が亡くなられ、相続の手続きを進める中で、特に頭を悩ませるのが不動産の財産調査ではないでしょうか。「把握している不動産はこれだけのはずだけど、万が一見落としがあったらどうしよう…」そんな不安を抱えていらっしゃる方も少なくありません。

実は、その不安を解消し、正確な財産調査を行うための重要な手がかりのひとつとなるのが「公図(こうず)」という書類です。多くの方にとって聞き慣れない言葉かもしれませんが、この公図を読み解くことで、故人が所有していた不動産の全体像を正確に把握し、後の遺産分割協議や相続登記をスムーズに進めることができます。

この記事では、相続財産調査における公図の役割から、具体的な取得方法、そして取得後のチェックポイントまで、初めての方にも分かりやすく解説していきます。この記事を読めば、公図についての疑問が解消され、自信を持って財産調査の第一歩を踏み出せるはずです。

相続財産調査で「公図」がなぜ重要なのか?

では、なぜ相続財産調査で公図がそれほど重要なのでしょうか。ひと言でいえば、「故人が所有していた不動産の全体像を明らかにし、財産の見落としを防ぐため」です。

公図とは、法務局(登記所)に備え付けられている、土地の区画(筆)や地番を一覧できる地図のようなものです。土地のおおまかな形状や隣接地との位置関係が示されており、不動産調査の基礎資料となります。

登記事項証明書だけでは分からない土地の全体像

相続不動産の調査というと、多くの方がまず「登記事項証明書(登記簿謄本)」を思い浮かべるかもしれません。もちろん、個々の不動産の所有者や権利関係を確認するために、登記事項証明書の取得は不可欠です。

しかし、登記事項証明書は、あくまで私たちが「存在を知っている不動産」についてしか取得することができません。例えば、ご自宅の敷地とは別に、把握していなかった私道の一部や、過去に分筆(分割)された小さな土地などを所有していた場合、それらの存在に気づかず、調査から漏れてしまう可能性があります。

実際に、相続のご相談をお受けしていると、このようなケースは決して珍しくありません。ご自身が把握している土地の登記事項証明書に記載された面積(地積)が想定より小さいなどの場合は、もしかしたら土地が分筆されている可能性も考えられます。

そこで役立つのが公図です。公図を取得すれば、調査したい土地とその周辺の土地がどのように区切られているかが一目でわかります。もし、把握していなかった土地が見つかれば、その地番をもとに新たに登記事項証明書を取得し、所有者を確認することで、財産の見落としを防ぐことができるのです。

登記事項証明書と公図の役割の違いを比較した図解。登記事項証明書が個別の権利関係、公図が土地の全体像を把握するために必要であることを示している。

公図の種類:「14条地図」と「地図に準ずる図面」

一口に公図といっても、実はその精度によって2つの種類に分けられます。

  • 14条地図(不動産登記法第14条第1項に定める地図)
    測量に基づいて作成され、一定の精度が確保されているため、現地での位置関係を把握しやすいのが特徴です。
  • 地図に準ずる図面(旧公図)
    主に明治時代の地租改正事業で作成された図面(旧土地台帳附属地図)を基にしています。そのため、測量技術が未熟だった時代のものも多く、実際の土地の形状や面積、境界線と一致しないこともあります。

現在、全国の登記所では、この「地図に準ずる図面」から精度の高い「14条地図」への置き換え作業が進められていますが、まだ多くの地域では「地図に準ずる図面」が使われています。取得した公図の右下あたりに「地図に準ずる図面」といった記載があるかどうかで、どちらの種類かを確認できます。情報が必ずしも現況と一致しない可能性があることは、頭の片隅に置いておくとよいでしょう。とはいえ、相続財産を把握する上では、どちらの図面も大きな差はないと思って問題ありません。

公図の取得方法|3つのステップで解説

公図の取得は、決して難しい手続きではありません。以下の3つのステップに沿って進めれば、どなたでも取得することができます。

ステップ1:土地の「地番」を調べる

公図を取得するために、まず必要になるのが土地の「地番(ちばん)」です。私たちが普段使っている住所(住居表示)とは異なる、土地を特定するための番号なので注意が必要です。

地番を調べる最も簡単な方法は、故人宛に届いていた固定資産税の納税通知書を確認することです。通常、「課税明細書」の欄に不動産の所在地として地番が記載されています。また、権利証(登記済証)登記識別情報通知にも記載されていますので、お手元にあれば確認してみましょう。

ステップ2:取得場所を選ぶ(登記所かインターネット)

地番がわかったら、次にどこで取得するかを決めます。主な取得方法は、法務局(登記所)の窓口で直接請求する方法と、インターネットを利用する方法の2つです。

取得方法メリットデメリット
法務局(登記所)の窓口・不明点を職員に質問できる・他の書類もまとめて取得できる・開庁時間内に行く必要がある・手数料が若干高い
インターネット(登記情報提供サービス)・自宅のPCから利用時間内に利用可能・手数料が安い・すぐに内容を確認できる・操作に慣れが必要な場合がある
公図の取得方法比較

ステップ3:必要書類を準備して請求する

【登記所の窓口で請求する場合】
登記所に備え付けの「地図・図面証明書交付申請書」に必要事項を記入します。申請書に地番を記入し、「地図・図面証明書」の欄で「公図の写し」にチェックを入れて窓口に提出します。手数料は1通500円で、収入印紙で納付します。公図は、相続人であるかどうかに関わらず、誰でも取得することが可能です。

【インターネットで請求する場合】
「登記情報提供サービス」のウェブサイトで利用者登録(一時利用も可能)を行い、画面の案内に従って地番を入力して請求します。手数料は1通361円で、クレジットカードなどで決済します。PDF形式でダウンロードできるので、すぐに内容を確認できます。

【習志野市・八千代市】公図を取得できる登記所のご案内

習志野市や八千代市に相続不動産がある場合、どこで公図を取得すればよいのでしょうか。具体的な登記所をご案内します。

習志野市・八千代市の不動産は千葉地方法務局へ

習志野市にある不動産は千葉地方法務局(本局)、八千代市にある不動産は千葉地方法務局 船橋支局が管轄しています。

  • 名称:千葉地方法務局(本局)
  • 所在地:〒260-8518 千葉市中央区中央港1丁目11番3号

公図の写しは、管轄外の登記所でも請求できる場合があるため、必ずしも管轄の登記所へ行く必要がないこともあります。お近くの法務局(支局・出張所)の窓口でも、習志野市・八千代市の公図を取得することが可能です。ただし、公図や登記簿謄本を取得したあとの疑問点について、管轄の登記所でないと回答等ができない場合もありますので、可能であれば管轄の登記所での取得をお勧めします。

どの登記所がどこを管轄しているかについては、法務局のウェブサイトで確認することができます。

参照:千葉地方法務局 不動産登記/商業・法人登記の管轄区域一覧

オンラインでの取得も可能です

もちろん、登記所へ足を運ばなくても、前述の「登記情報提供サービス」を利用すれば、習志野市や八千代市の公図をオンラインで取得することができます。

ただし、正直なところ、このインターネットサービスは初めて利用する方にとっては、必ずしも使い勝手が良いとは言えない側面もあります。もし操作に不安があったり、他の書類も合わせて調査したりしたい場合は、少しお手間かもしれませんが、登記所の窓口へ行って職員の方に聞きながら取得する方が確実で安心かもしれません。

公図を取得した後のチェックポイントと注意点

無事に公図を取得できたら、次は内容を確認していきましょう。ただ眺めるだけでなく、以下のポイントに注意してチェックすることで、より深い情報が見えてきます。

公図を見ながら司法書士に相談する人物。相続不動産の調査について専門家のアドバイスを受けている様子。

公図と現況が異なる場合は専門家への相談も検討

特に「地図に準ずる図面」の場合、公図に描かれている土地の形状や境界線が、実際の土地の状況と明らかに異なっていることがあります。「図面と実際のブロック塀の位置が違う」「お隣との境界線が曖昧になっている」といったケースです。

このような境界に関する問題は、相続手続きの中でも特に専門的な知識を要する分野です。当事者同士での話し合いでは解決が難しく、将来的なトラブルの原因にもなりかねません。もし公図と現況のズレに気づき、不安を感じた場合は、ご自身だけで抱え込まず、土地家屋調査士や私たちのような相続の専門家へ一度相談してみることをお勧めします。

まとめ|公図を活用して、正確な相続財産調査を

今回は、相続財産調査における「公図」の重要性や取得方法、チェックポイントについて解説しました。

  • 公図は、登記事項証明書だけでは分からない不動産の全体像を把握し、財産の見落としを防ぐために不可欠な書類です。
  • 取得は、法務局(登記所)の窓口か、インターネットの「登記情報提供サービス」で可能です。
  • 習志野市・八千代市の不動産は、千葉地方法務局が管轄していますが、全国どこの登記所でも取得できます。
  • 取得後は、地番のない土地がないか、現況と大きなズレがないかなどを確認しましょう。

相続手続きは、やらなければならないことが多く、大変な作業です。しかし、最初のステップである財産調査を正確に行うことが、後の遺産分割協議や相続登記を円滑に進めるための土台となります。この記事が、皆さまの相続手続きの一助となれば幸いです。

不動産の相続手続きでお困りならご相談ください

「公図を取ってみたけれど、見方がよく分からない」「知らない土地が出てきて、どう調査を進めればいいか不安…」など、不動産の相続手続きで何かお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。

相続に関するお悩みは、ご家庭によって様々です。私たちは、お一人おひとりの状況を丁寧にお伺いし、何をすべきかを分かりやすくご説明します。初回のご相談は無料です(ご相談内容によっては、別途費用が発生する場合があります)ので、安心してご連絡いただければと思います。

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