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相続登記の登記申請書とは?まずは全体像を掴みましょう
ご家族が亡くなり、不動産を相続することになったとき、多くの方が「相続登記」という言葉を耳にするかと思います。そして、その手続きの中心となるのが「登記申請書」の作成です。初めてこの書類を前にすると、専門用語が並び、どこから手をつけていいのか分からず、不安に感じてしまうかもしれませんね。
ですが、ご安心ください。登記申請書の一つひとつの項目が何を意味しているのかを理解し、正しい情報を書き込んでいけば、ご自身で完成させることも十分に可能です。
この記事では、相続登記の登記申請書の作成でつまずきやすいポイントを具体的な記入例を交えながら、専門的な知識がなくても理解できるよう分かりやすく解説していきます。
相続登記の手続きは、大きく分けると以下の4つのステップで進みます。
- 必要書類の収集 :戸籍謄本や住民票などを集めます。
- 登記申請書の作成 :この記事のメインテーマです。
- 登録免許税の計算・納付:不動産の価格に応じて税金を納めます。
- 法務局へ提出 :作成した書類一式を管轄の法務局に提出します。
※登録免許税を収入印紙で納付する場合、3納付と4法務局への提出は同時になります。
この記事を最後までお読みいただければ、この一連の流れをスムーズに進めるための知識が身につき、「自分でもできそうだ」と思っていただけるはずです。相続登記の全体像については、相続登記の方法・必要書類・手続きの流れで体系的に解説していますので、そちらも併せてご覧になると、より理解が深まるでしょう。
相続登記申請書の具体的な書き方
それでは、早速、登記申請書の具体的な書き方を見ていきましょう。ここでは、相続人である「相続太郎」さんが、亡くなったお母様「相続花子」さん名義の不動産を相続するケースを想定して解説します。一つひとつの項目について、なぜそのように書くのか、注意点は何かを詳しくご説明しますね。
なお、不動産登記の申請書様式や記載例は、法務局のホームページでも公開されていますので、そちらも参考にされると良いでしょう。
ひな形(記入例)で見る登記申請書の完成イメージ
まずは完成形を見て、全体像を掴んでみましょう。以下が、今回のケースに基づいた登記申請書のひな形です。
登記申請書
登記の目的 所有権移転
原 因 令和8年1月10日 相続
相 続 人 (被相続人 相続花子)
千葉県習志野市東習志野8丁目13番10号
相続太郎 ㊞添付情報
登記原因証明情報 住所証明情報▢ 登記識別情報の通知を希望しません。
令和 年 月 日申請 千葉地方法務局 御中
課税価格 金1000万円
登録免許税 金4万円
不動産の表示
【土地】
所在 習志野市東習志野八丁目
地番 100番1
地目 宅地
地積 150・00平方メートル
【建物】
所在 習志野市東習志野八丁目 100番地1
家屋番号 100番1
種類 居宅
構造 木造瓦葺2階建
床面積 1階 50・00平方メートル
2階 40・00平方メートル
重要ポイント!「不動産の表示」の書き方
登記申請書の中でも、特に多くの方がつまずきやすいのが「不動産の表示」です。ここを間違えてしまうと、申請がやり直し(補正)になってしまう可能性もあるため、慎重に記載する必要があります。
この欄には、相続する不動産の情報を正確に書き写す必要がありますが、その元となる情報が記載されているのが「登記事項証明書(登記簿謄本)」です。まずは登記事項証明書を取得し、内容を確認することから始めましょう。
登記事項証明書を手元に用意したら、そこに書かれている情報を書き間違えないように、申請書に転記していきます。特に、土地と建物では記載する項目が異なりますので注意が必要です。
- 土地の場合:登記事項証明書の「表題部」に記載されている「所在」「地番」「地目」「地積」をそのまま書き写します。
- 建物の場合:同じく「表題部」から「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」を書き写します。
- マンション(敷地権付区分建物)の場合:記載方法が少し複雑になります。「一棟の建物の表示」と「専有部分の建物の表示」、そして「敷地権の表示」をそれぞれ正確に書き写す必要があります。
登記事項証明書のどこに何が書かれているのか、見慣れないと分かりにくいかもしれません。しかし、対応する箇所を丁寧に見比べながら転記すれば、大丈夫です。
登記申請書とセットで準備すべき添付書類(必要書類)
登記申請書が完成しても、それだけでは手続きは完了しません。申請書の内容が正しいことを証明するための「添付書類」をセットで提出する必要があります。この添付書類は、どのような経緯で相続したかによって異なります。
ここでは、代表的な3つの相続パターン別に必要な書類を一覧にまとめました。
| 書類の種類 | ①遺産分割協議で相続 | ②法定相続分で相続 | ③遺言書で相続 ※1 | 取得場所の例 |
|---|---|---|---|---|
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等 | ● | ● | 被相続人の死亡の記載のある戸籍謄抄本 | 本籍地の市区町村役場 |
| 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票) | ● | ● | ● | 最後の住所地の市区町村役場 |
| 相続人全員の戸籍謄本 | ● | ● | 不動産を相続する人の戸籍謄抄本 | 本籍地の市区町村役場 |
| 不動産を相続する人の住民票 | ● | ● | ● | 住所地の市区町村役場 |
| 固定資産評価証明書 | ● | ● | ● | 不動産所在地の市区町村役場 |
| 遺産分割協議書 | ● | ご自身で作成または専門家が作成 | ||
| 相続人全員の印鑑証明書 | ● | 住所地の市区町村役場 | ||
| 遺言書 | ●※2 | − |
※1相続人への相続を想定しています(相続人以外の人への遺贈の場合は書類が異なります)
※2遺言書によっては、家庭裁判所の検認が必要です。(法務局の保管制度を利用していない自筆証書遺言など)
これらの書類の中には、取得に時間がかかるものもあります。特に「被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本」は、転籍を繰り返している場合など、複数の役所から取り寄せる必要があり、すべて揃えるのに1ヶ月以上かかることも珍しくありません。早めに準備を始めることをお勧めします。
また、遺産分割協議書は相続人全員の実印が必要になるなど、作成には注意が必要です。提出した戸籍謄本などの原本は、手続き後に返却してもらう「原本還付」という手続きが可能ですので、忘れずに行いましょう。
登録免許税の計算方法|課税価格の求め方から解説
登記申請書を作成する上で、もう一つの大きな関門が「登録免許税」の計算です。登録免許税とは、登記手続きを行う際に国に納める税金のことで、原則として収入印紙(または手続により領収証書・電子納付等)で納付します。
相続登記の場合、登録免許税の計算式は以下の通りです。
課税価格 × 0.4% (100分の4)
ここでポイントとなるのが「課税価格」です。これは、不動産の売買価格や時価ではなく、「固定資産評価証明書」に記載されている「価格」または「評価額」をもとに計算します。固定資産評価証明書は、不動産が所在する市区町村役場(東京23区の場合は都税事務所)で取得できます。
具体的な計算手順は以下の通りです。
- 固定資産評価証明書を取得する:登記を申請する年度のものが必要です。
- 課税価格を算出する:土地と建物の評価額を合算し、1,000円未満を切り捨てます。これが課税価格となります。
- 登録免許税を計算する:課税価格に0.4%を掛け、100円未満を切り捨てます。これが納めるべき税額です。
【計算例】
- 土地の評価額:9,055,500円
- 建物の評価額:1,088,800円
① 課税価格の計算
9,055,500円 + 1,088,800円 = 10,144,300円
1,000円未満を切り捨てて、課税価格は 10,144,000円 となります。
② 登録免許税の計算
10,144,000円 × 0.4% = 40,576円
100円未満を切り捨てて、登録免許税は 40,500円 となります。
納付方法は、申請形態に応じて収入印紙の貼付、領収証書の添付、電子納付等の方法があります。
なお、登録免許税については、土地の評価額が100万円以下の場合は免税になるなどの措置がありますので、詳しくは法務局のホームページ等でご確認ください。
申請書の作成で迷ったら?専門家への相談も選択肢に
ここまで、ご自身で相続登記の申請書を作成する方法について解説してきました。手順通りに進めれば、ご自身で手続きを完了させることも可能です。
しかし、相続はご家庭の事情によって様々です。相続人の数が多かったり、連絡が取りにくい方がいたり、遺産分割協議がまとまらなかったり、あるいは古い抵当権が残っていたりと、複雑なケースも少なくありません。
もし、書類の収集や作成を進める中で、「これで本当に合っているだろうか」「少しでも不安だな」と感じることがあれば、無理にご自身だけで解決しようとせず、専門家へ相談することも大切な選択肢の一つです。
特に、千葉県習志野市や八千代市にお住まいの方で、相続登記についてお悩みでしたら、一度、当事務所にご相談ください。難しい専門用語を避け、丁寧にサポートさせていただきます。初回のご相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

千葉県習志野市東習志野にある「司法書士和久咲法務事務所」は、相続手続や遺言書作成など、相続や終活に関するご相談を専門に承っております。代表司法書士の景山悟は、平成29年の開業以来、200件以上の相続手続や20名以上の成年後見人業務に携わり、地域の皆様のお力になれるよう日々努めております。初回相談は無料ですので、相続や遺言、成年後見などでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
