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成年後見人の選任手続

2025-05-14

成年後見人を選任するきっかけ

成年後見人を選任するきっかけはいろいろありますが、次のような場合があります。

①認知症が進んだ親に代わって預金を引き出そうとしたら銀行の窓口で成年後見制度の利用を求められた
②老人ホームなどの施設に入所するための資金として親名義の不動産を売却しようと思ったら不動産業者から成年後見制度の利用を求められた
③相続税の心配があるため遺産分割協議のことについて税理士に相談したら、認知症の相続人について成年後見制度を利用する必要があると言われた

その他にも、保険金を受け取りたい、相手を訴えたいなどいろいろな場面があります。
いずれにしても、本人(親など)が認知症などのため契約や遺産分割協議などが行うことが出来なくなってしまった場合に成年後見人を選任することが多いです。

成年後見には3つの種類がある

「成年後見」と一口に言っても実は「後見」「保佐」「補助」という3つの種類(類型)があります。
この区別は簡単に言えば認識能力や判断能力により分けられています。
「補助」の類型がこの中では最も能力が高いとされ「保佐」「後見」の順に低くなります。
例えば、認知症の症状が進行しており、通常のコミュニケーションも困難な場合は、「後見」類型になることが多いと思われます。
対象者がどの類型に該当するかは、申立書に添付する「診断書」の内容などにより最終的には家庭裁判所が決定しますが、申立の際も、申立人がどの類型により申し立てるのかを決める必要があります。
※「後見」類型で申し立てたあと、家庭裁判所での審査により「保佐」類型であると判断された場合は、「保佐」類型への変更を求められることになります。

成年後見の申立てに必要な書類

対象者の戸籍謄本などが必要になります。
また、「後見制度申立用の診断書」や法務局で取得する「登記されていないことの証明書」といった特殊な書類もあります。

書類の具体的な内容は申立をする管轄の家庭裁判所のホームページなどで確認してください。
なお、申立てをする家庭裁判所は、対象者の住民票の住所地を管轄する家庭裁判所です。
家庭裁判所のホームページには申立書のほか、診断書や各書類のひな形が掲載されていますので、ダウンロードの上、印刷して利用してください。

千葉家庭裁判所の後見手続ホームページ
※別のウィンドが開きます。

申立後の手続

管轄の家庭裁判所に申し立てると、対象者や申立人、後見人候補者の面談などが行われます。
具体的には、申立て後に家庭裁判所の書記官(事務の担当者)から電話で連絡が入りますので、その指示に従ってください。

事例によっては「鑑定」が行われることもあります。
法令上は「鑑定」を行うことが原則とされていますが(家事事件手続法第119条)、実際は「鑑定」を実施していないことも多いです。
「鑑定」が行われる場合は、別途鑑定費用(10~20万円程度)が必要になります。

成年後見人の選任

成年後見人(「後見」類型の場合・「保佐」は保佐人、「補助」は補助人です。以下、「後見」類型を前提に記述します)は、家庭裁判所が選任します。
申立書には「成年後見人の候補者」を記載する欄がありますが、事情によりその候補者が選任されない場合もあります。

対象者(成年被後見人)の財産が多かったり、親族間で揉めているような場合は、親族の候補者が選任されなかったり、選任されたとしても弁護士や司法書士といった専門職後見人とともに選任されることがあります。

なお、成年後見人の選任申立は、申立人の都合により取り下げることはできません。
例えば、父の成年後見人のとして子を候補者として申立をしたにも関わらず、専門職が選任されたとして申立を取り下げることはできません。

成年後見制度は、あくまでも成年被後見人(上記事例では父)のための制度であり、申立人(上記事例では子)の都合(子が選任されなかったなど)で取り下げることは認められていません。

選任後(成年後見人の仕事)

成年後見人が選任された後は、成年後見人が家庭裁判所の監督のもとに成年後見人としての仕事を行います。
成年後見人は、成年被後見人のためにその仕事を行う必要があります。
成年後見人の仕事の一つに、成年被後見人の財産管理がありますが、成年後見人が勝手に成年被後見人の預金等を使うことはできません。

成年被後見人(例えば父)の預金等の財産は、成年被後見人である父のために使う必要があります。
成年後見人として、父の銀行口座から預金を引き出すことが出来たとしても、それを成年後見人や親族のために使うことはできません。

例えば、父は施設に入所しており自宅に帰宅することは無いにもかかわらず、父の預金を使って自宅のエアコンの買い替えをすることは基本的には出来ないと考えられます。

また、成年後見人は年に一度、家庭裁判所に業務についての定期報告をする必要があります。
定期報告以外にも適宜必要があれば臨時の報告をする必要もあります。

当事務所では

当事務所ではこれまで成年後見人の申立てや実際に成年後見人として高齢者や障がい者の方のサポート業務を行っております。

成年後見の申立てや成年後見制度について不明点などございましたらお気軽にお問い合わせください。

認知症と遺産分割協議

2025-05-13

相続手続には遺産分割協議が必要なことが多い

不動産の名義変更や預貯金の解約など相続手続では、遺産分割協議(書)が必要なことが多いです。
その遺産分割協議は、相続人の全員の同意が必要とされています。

遺産分割協議(書)とは

亡くなった方(被相続人)が遺言書を作成していなかった場合、相続の方法は次の2パターンになります。
①民法が定めた法定相続分に従って相続人全員で相続する
②相続人全員の同意により①とは異なった相続人・割合で相続する

②のパターンの相続人全員による話し合いを「遺産分割協議」と呼んでいます。

遺産分割協議は、相続人全員が納得する限り、どのような内容でも構いません。
ポイントは、【相続人全員の合意】です。

例えば、父が亡くなり、相続人が母・子二人のような場合に、相続人全員である母・子二人が話し合って(遺産分割協議をして)、自宅・預貯金など父の相続財産すべてを母が相続する、というような取り決めに合意できれば、それで構いません。

その点、相続というと「法定相続分」が気になる方もいるかもしれません。
「法定」となっているので、あたかも法が定めた割合通りに分割をしなければならないような感じにもなってしまいますが、そこは、相続人全員が合意する限り、法定相続分にとらわれる必要はありません。

ちなみに、遺産分割協議について民法では「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする」(民906条)と定められており、必ずしも法定相続分で分割しなければならないと定めているわけではありません。

また、相続人全員の話し合いを「遺産分割協議」と言いますが、民法では、その結果を必ずしも書面にすることは求められていません。

しかし、不動産の名義変更(相続登記)などでは結果を書面化した「遺産分割協議【書】」が必要とされていますし、相続登記が無い場合であっても、後日のために遺産分割協議【書】を作成することが多いと思います。

相続人が認知症だった場合

このように遺産分割協議には、相続人全員の合意が必要なのですが、相続人の中に高齢で認知症の方がいる場合もあります。
認知症の方は、「この遺産はほしい」「この遺産はいらない」「相続したい」「相続したくない」などという意思表示が困難なことが多いです。
つまり、認知症の方は実質的な遺産分割協議には参加することが難しいと考えられます。
とはいえ、そのような方(認知症の方)を除外して遺産分割協議をすることも出来ません。
その場合は、認知症の方に代わって遺産分割協議に参加する人を選ぶ必要があります。
その人が「成年後見人」です。

成年後見人の選任

相続人の中に意思表示が困難である認知症の方がいる場合は、成年後見人の選任を検討する必要があります。
成年後見人は、認知症の方の代理人になる人ですが、親族などが勝手に決めることはできません。
家庭裁判所の手続によって選任してもらう必要があります。
家庭裁判所に、申立書や医師の診断書など必要書類をそろえて申立をします。
申立から成年後見人が決まるまでに3ヶ月程度かかります。(ケースによって期間は異なります。)

成年後見人についての留意点は次のとおりです。
・申し立てた親族が望む人が成年後見人に選任されるとは限らない
  →成年後見人は家庭裁判所が決める

・一度成年後見人が選任されると、基本的には一生涯、成年後見人が付いたままになる。
  →遺産分割協議のためだけに選任されるわけではない。

・申立後に、申立を取り下げ(中止する)ことはできない。

・成年後見人に専門職(司法書士・弁護士等)が選任された場合は、家庭裁判所が決めた報酬を支払う必要がある、など

このように成年後見人を選任してもらい、認知症の方に代わって成年後見人が遺産分割協議に参加することとなります。

ちなみに、成年後見人が選任された認知症などの方を、成年後見人といいます。

遺産分割協議と成年後見人

無事、成年後見人が選任されればいよいよ遺産分割協議なのですが、ここでも留意点があります。
それは、遺産分割協議の内容として、原則、成年被後見人の取得割合を法定相続分以上にする必要があるという点です。

例えば、父が亡くなり、その相続人として母・長男・長女の3人が相続人であったとします。
父の相続財産は、主に自宅の土地・建物であり、預貯金はごくわずかだったとします。
母は認知症により遺産分割についての意思表示をすることができません。
長男・長女としては、すべての財産を長男が相続した方が良いのではないかと考えています。

この事例の場合、仮に母が元気であれば相続人全員の合意によって、すべての財産を長男が相続することもできます。

しかし、母に成年後見人が選任された場合は、母の相続分として法定相続分以上の財産を確保する必要があります。
具体的には、母の法定相続分は2分の1なので、父の財産の2分の1以上を確保する必要があります。

そのため、この事例の場合、「長男がすべての財産を相続する」という内容の遺産分割協議は、基本的には認められないと考えられます。

日経マネー2025年4月号に掲載されました。

2025-05-01

弊所司法書士が執筆した書籍「自分でやる?プロに頼む?相続登記サクッと準備ガイド」が日経マネー2025年4月号の「Money Books」の1冊に取り上げられました。

(日経マネー2025年4月号・125ページ・日経BP社発行より抜粋)

全国の書店・アマゾン等のネット通販等で発売中です。
また、習志野市・八千代市をはじめ全国の図書館にも所蔵されているようです。
よろしければお手に取ってご確認下さい。

「相続登記サクッと準備ガイド」(中央経済社)を出版しました

2025-02-06

この度、中央経済社より「相続登記サクッと準備ガイド」を出版しました。

Amazonなどで発売しております。

【まえがき】より抜粋

昨今、少子高齢化が進み「空き家問題」が話題になっています。そのような中、2024年4月より相続登記が義務化されました。

我が家で相続が発生したら、相続登記はどうしよう?実際に相続が発生したけれど、相続登記って自分でできるの?そのようなお悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本書は、楽しいマンガを使いながら、相続登記の手続に取り組む前の段階のお話であったり、相続登記を自分で進めることができるか否かの判断のポイントをお伝えするものです。(相続登記におけるコスパ・タイパについての解説とも言えるかもしれません。)ですから、相続登記の手続解説や手続マニュアルとはなっていません。なーんだと思われた方もいるかもしれませんが、相続登記に関して情報を集めている方にとっては、とても重要な内容になっています。まずは、マンガや目次だけでもサッと目を通してみてください。

重要だと思われることは繰り返し記載していますので、ご興味のあるところから読んでいただければと思います。マンガだけを読んでいただいても良いと思います。

マンガに登場する主人公も大変苦労していますが、相続は心理的にも物理的にも負担が大きいです。本書が少しでも皆様の相続における負担軽減に資すれば望外の喜びです。

相続登記サクッと準備ガイド

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2024年11月23(土)日経新聞朝刊1面広告欄(抜粋)

共有の農地を単独所有にしたい

2024-07-10

当事務所の周辺は住宅地であるため、田んぼや畑といった農地は多いとは言えません。(もちろん東京の都市部などと比べればありますが。。)

ところで、司法書士の中心業務の一つに不動産登記があります。
不動産登記とは、ざっくり言えば「不動産の名義変更」の手続です。
Aさんが所有している土地をBさんに売ったら、登記簿をAさんからBさんに名義を書き換えます。
これが不動産登記です。
売買の対象の土地が住宅地の場合、AさんとBさんの売買契約によって売ることができます。
当たり前と言えば当たり前かもしれません。

しかし、世の中にはこの当たり前が通用しない土地が存在します。
それが、「田」や「畑」といった農地です。
なぜ、農地は世の中の当たり前が通用しないのでしょうか?

それは、農地法という特別な法律があるからです。

農地法は、ざっくり言えば、農地を守りましょうという法律です。
むやみに農地を住宅地などに開発してしまうと、日本から農地が無くなってしまうかもしれません。
そのようなことにならないように、農地の売却にはお役所の許可が必要になっています。
たとえ、AさんとBさんの売買契約が成立していたとしても、お役所の許可がなければ、売買はできません。

このお役所の許可のことを「農地法の許可」などと呼んでいます。

さて、ここからが今回の本題なのですが、相続などにより取得した土地を共有者のうちの一人に贈与したいという相談がありました。
その土地の登記簿を確認するとA・B・Cの3名の共有状態でした。
この3名は親戚同士で、対象となる土地は現在使われていないので、B・Cの持分をAさんに贈与してAさんの単独所有にしたいという相談でした。

贈与であっても、売買と同様に、贈与契約があれば、B・Cの持分をAさんに贈与することができます。
ただし、当事務所で登記簿を確認してみると、今回の土地は「田んぼ」でした。
そうです。
当たり前が通用しない農地でした。

つまり、B・CとAさんの贈与契約だけではダメで、農地法の許可が必要となるケースでした。

じゃ、許可を取ればいいのでは?と思いますが、
ケースにもよるのですが、今回は農地法の許可を取得することが大変難しい土地でした。

そこで、農地法の許可はあきらめて別の方法を検討しました。

それが「持分放棄」です。

「放棄」とは言いますが、実は、不動産は原則として捨てること・放棄することはできません。
買った土地をもう使わないので、捨てます・放棄します、ということは出来ず、誰かにあげたり(贈与したり)、売ったりすることが出来なければ、ずっと所有者のままです。
※相続により取得した場合、一定の要件を満たす土地は、国が引き取る制度(相続土地国庫帰属制度)ができました。詳細は別の機会にしたいと思います。

ただし、それが不動産の「持分」であった場合は、事情が異なりなります。
今回のケースのように、共有であった場合は、その持分を放棄することができます。

持分を放棄すると、放棄をしていない共有者に持分が移動します。

今回の場合は、B・Cが持分を放棄することで、その持分がAに移動します。
そして、結果的にAが単独で所有することができ、目的を達成することができます。

あれ?
農地法はどこにいったのでしょうか?

実は、この持分放棄では農地法の許可は不要です。
似たようなことを行っているのに、贈与では必要で、持分放棄では不要・・。
なんだか不思議です。

すこしだけ理屈をお話すれば、売買や贈与は契約です。
契約とはAとB・Cの合意とも言えます。
お役所は、農地法の許可を使って、この合意に「ちょっと待ったー」をすることができるのです。
ちょっと待ったーによって合意をさせない、つまり売買や贈与は出来ないという理屈です。

一方、「放棄」はB・Cが「捨てる」行為であって、AとB・Cの合意ではありません。
農地法では「放棄(捨てる)」という行為に、「ちょっと待ったー」はできません。
そのため、「持分を放棄する」と言えば、農地であっても持分の放棄をすることができます。

そのため、今回の相談では、贈与ではなく、持分放棄をすることで、Aの単独所有とすることが出来ました。

登記はすぐに終わりません。

2024-06-27

2024年4月より相続登記が義務化されました。
2024年4月以降に生じた相続はもちろん、それまでに生じていた相続も義務化の対象となっています。そのためでしょうか。最近、法務局(登記所)が混雑しているように感じます。

とはいえ、実際に法務局に行っても人であふれかえっているということはありません。
それは、登記申請や登記事項証明書(登記簿謄本)の申請がオンラインや郵送で行われていることが多く、実際に法務局の窓口に行って申請などを行っている人が少ないからだと思われます。

では、どこで法務局の混雑具合を感じるのか?
それは、登記申請から登記完了までの期間です。

登記(相続登記などの不動産登記)とは、簡単に言えば、登記簿の書き換えのことです。
相続登記でいえば、不動産の所有者が亡くなり相続が生じたので、登記簿に記載されている所有者の名義を書き換えてほしい、というものです。

この登記=書き換え作業って、実は、わりと時間がかかります。引っ越しをしたときは市役所などで住所変更の手続きをしますが、その際の書き換えは多くの場合、即日に行ってもらえると思います。しかし、登記は事情がことなります。
早くても1週間、時間がかかる場合は1か月以上のこともあり得ます。

法務局は管轄といって、担当エリアが決まっています。大都市と地方の法務局では当然取り扱い量が異なります。
私が日ごろ申請することが多い法務局はおおむね10日~2週間程度のことが多いです。1週間くらいだと早いなーと感じます。
ところが、最近は1か月近くかかることも珍しくない感じがします。
理由はよくわかりませんが、相続登記の義務化が一因になっているような気もします。

いずれにしても、登記には時間がかかるということは気に留めておかれるとよいと思います。

例えば、相続登記とはいっても、不動産の売却を前提としたものもあります。
父が亡くなった後、自宅の不動産を売却しようと思ったら、父名義のままだったので、売却するために父から子への相続登記が必要であったような場合です。

この場合、売却までに相続登記を必ず終わらせておく必要があります。
ところが、あまりにタイトなスケジュールを組んでしまうと、相続登記が間に合わないということもあり得ます。
と、言うのも、先の1か月ほどかかっているというのは、あくまでも登記申請から登記完了までの期間です。

相続登記の申請をするには、その前に戸籍謄本などのいろいろな書類を準備しなければなりません。ケースによりますが、事前準備に最低1か月程度、スムーズにいっても2~3か月かかることが多いです。相続人間にトラブルなどがあれば、以上かかります。

不動産の売却をするときなどは、相続登記の目途が付いてから動くことも多いかと思いますが、登記期間が長めになっていることは留意点の一つかと思います。

「登記はすぐに終わらない」
これはぜひ覚えておいてください。

「登記識別情報の通知を希望しません」にチェックはしない

2024-06-14

司法書士は不動産取引の残金決済に立ち会うことがよくあります。そこでは登記書類などを確認して間違いなく所有権が移転したり、抵当権が設定出来たりすることを確認しています。

以前、残金決済にあたって担当の不動産仲介業者から「今回の売主さんは登記識別情報を持っていないようです。」との連絡がありました。「登記識別情報」とは従来の権利証と同じ役割を果たす書類です。不動産の購入や相続などで不動産の名義を取得した際に登記所(法務局)から通知(交付)されている書類で、後日、不動産の売却の際に必要になります。登記識別情報は無くても手続はできますが、別途の手続と費用がかかります。費用はおおむね5~10万円程度かかります。

このように登記識別情報は重要な書類ではあるのですが、不動産は長期に所有することも多いので、中には無くしてしまう方もいます。ただ、探すのが面倒だと思われている方もいるようで、「費用がかかります」と案内すると、出てくることもしばしばです。ちなみに、登記識別情報(従来の権利証も)は再発行はできません。

冒頭の仲介業者から問い合わせがあった売主さんにも同様の案内をしようと思っていたところ、仲介業者から「この前登記をしたばかりのようなんです」との連絡も。

登記簿謄本を確認してみると、確かに2か月くらい前に登記をしたばかりのようで、登記識別情報を無くしてしまうには早すぎます。そこでもう少し登記簿謄本を見てみると、取得原因(理由)に「相続」と書いてありました。

それでピンときました(これは売主さんが自分で登記手続きをしたのかな??)。

仲介業者に「今回の売主さんは、相続登記で不動産を取得しているみたいですけど、これは誰が行ったんですか?」と聞いてみると「司法書士ではなく、自分でやったようです」との回答がありました。

予想的中です。

おそらく、法務局の登記申請書のひな形を使用しながら相続登記をご自身で行ったのだと思います。
法務局が用意しているひな形の中には、四角のチェックボックスとともに「登記識別情報の通知を希望しません」という欄があります。

そして、今回の売主さんは、このチェックボックスにチェックを入れて相続登記を申請したのだと思います。
「すぐに売っちゃうのだから登記識別情報なんかいらないな」などと思われたのかもしれません。

ただ、その登記識別情報は、そのすぐ売っちゃう際に使用するものなので、少なくとも今回はチェックボックスにチェックをすべきではありませんでした。

この売主さんに限らず、登記識別情報は、現在のところよほどの事情がない限り通知(交付)してもらうことが一般的です。確かに通知後の保管などが面倒なところもありますが、ご自身で相続登記を行う際は、チェックボックスにチェックを入れずに登記識別情報を通知(交付)されることを強くお勧めします。

ちなみに、さきほどの売主さんは結局登記識別情報が無かったため、別途5万円の費用がかかりました。

お客様の声

2024-06-12

相続登記のご依頼をいただきました。
ありがとうございました。

お客様の声

2024-06-12

抵当権抹消登記のご依頼をいただきました。
ありがとうございました。

お客様の声

2024-06-12

会社設立登記のご依頼をいただきました。
ありがとうございました。

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