不動産の名義人の方が亡くなった場合、相続登記が必要になります。
相続登記では登記申請書を書いたり、登記申請書と一緒に提出するいろいろな書類を用意したりと、準備することが多いですが、まずは、登記簿謄本の確認からスタートしましょう。
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登記名義は「お父さんに決まって・・・」ない。
なぜ、登記簿謄本の確認しなければならないのか。
それは、ズバリ、登記名義人を確認する必要があるからです。
登記名義人とは、登記簿上の所有者の事です。
登記簿謄本には、所有者の「住所」と「氏名」が記載されています。
※登記簿謄本にはいくつかの呼び方があり「登記事項証明書」や「全部事項証明書」も同じ意味です。ここでは登記簿謄本の名称で統一します。
例えば、父・母・子の家族関係で、父が亡くなり自宅の相続登記を申請する場面を想定します。
母も子も自宅の登記名義は父であることにまったく疑いを持っていません。
実際、毎年市役所から送付される不動産の固定資産税の通知書には、所有者として父の氏名が記載されています。
そこで、父となっている登記名義を母に変更するための相続登記を何とか自力で管轄の法務局に申請しました。
すると、後日、管轄の法務局から電話がかかってきました。
法務局「〇〇さんですか?先日申請された相続登記ですが、登記名義人が違いますのでこのまま登記をすることができません。」
母「っえ?どういうことですか?よくわからないのですが?」
法務局「詳しくは登記簿謄本を確認してもらいたいのですが、登記名義人はご主人様(父)ではないようです」
母「っえ??」
一体どういう事でしょうか?
その後、登記簿謄本を確認したところ、父(夫)の父、つまり、祖父の名義のままとなっていたことが判明しました。
祖父はすでに亡くなっているので、このケースでまず行うべき登記は、祖父の相続登記であるということになります。
せっかく父の相続登記についていろいろと準備をしたとしても、登記簿謄本の確認を行っていなかったために、もう一度仕切り直しとなってしまいました。
なお、市役所から送付される固定資産税の通知書に「不動産の所有者」と記載されていることがあります。
ただし、その書面はあくまでも固定資産税に関する書面であって、登記簿謄本の記載とは直接の関係はありません。
したがって、固定資産税の通知書に「不動産の所有者」との記載があったとしても、登記簿謄本によって登記上の所有者を確認する必要があります。
また、登記名義は父であったとしても「住所」が従前のままであったということもあり得ます。
その場合、準備しなければならない書類も異なってきます。
そのため、相続登記の準備を始める際は、まずは登記簿謄本の確認を行うようにしてください。
そして、登記名義人が思っていた方と違った場合(父と思っていたら祖父であったような場合)、相続登記の手続は複雑になることが多いので、まずは、司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
知らない担保の登記が判明することも
登記簿謄本を確認すると相続人が知らない担保(金銭等の借入のカタになっていること)が判明することがあります。
担保とは、具体的には「抵当権」や「根抵当権」と登記されているものです。
例えば、抵当権の代表例は住宅ローンです。
ただし、住宅ローンであれば銀行名等が登記されているので、登記簿謄本を見ればおおよそ推測が付きます。
一方、まったく知らない個人名義であったり、明治や大正時代の日付とともに債権額金10円などといった、いかにも古めかしい内容の抵当権がついていることがあります。
これは、いわゆる休眠担保と言われるものである可能性が高いです。
休眠担保は手続をしない限り自動的に消えることはありません。
ただし、直ちに差押えなどの不利益が生じる可能性も低いことが多いです。
一方で、売却をしたい場合、一般的には休眠担保が付い不動産は売却が難しいとされています。
そのため、休眠担保の存在を把握した場合は、そのまま放置せず司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
休眠担保のご相談も承ります
当事務所では、相続登記はもちろん、休眠担保のご相談も承ります。
登記簿謄本の見方・読み方がわからないと言った場合のご相談も承ります。
どうぞお気軽にご相談下さい。

千葉県習志野市東習志野にある「司法書士和久咲法務事務所」は、相続手続や遺言書作成など、相続や終活に関するご相談を専門に承っております。代表司法書士の景山悟は、平成29年の開業以来、200件以上の相続手続や20名以上の成年後見人業務に携わり、地域の皆様のお力になれるよう日々努めております。初回相談は無料ですので、相続や遺言、成年後見などでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。